日本結核・非結核性抗酸菌症学会 THE JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS AND NONTUBERCULOUS MYCOBACTERIOSIS
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Q&A 7: 定期外検診(接触者検診、積極的疫学調査)の結果の事後対応について


Q&A 7 2014年1月30日
質問:定期外検診(接触者検診、積極的疫学調査)の結果の事後対応について

結核の診断が遅れた発症患者さんのために定期外健診をおこないました。
数名のTスポット(外注の都合でQFGではないです)陽性者がおり、保健所と相談し、潜在性結核として治療を開始しました。

院長が<院内感染で職員がもし発症したら責任問題になるのではないだろうか>と心配しています。
今回のTスポット陽性を、<今回、感染したものだろう>と安易に伝えていいものなのか、と。
私には今までのささやかな経験や学会誌、学会出席などで責任問題でトラブルになる、というイメージがもてません。
INHを飲んでいても発症する人もいれば、Tスポット陰性者から発症する人もいれば、、、
<責任問題>という観点が必要なのか理解できません。
日常の感染対策がある程度、おこなわれていれば、誰が悪い、というものでもないと思うのですが、、、
非医学的な質問で恐縮ですが、院長の心配は最もなことで、トラブルになった事例などあるのでしょうか?
お願いいたします。

回答 2014年2月2日10:40
結核病学会にご質問をいただきましてありがとうございます。
定期外検診(接触者検診、積極的疫学調査)の結果の事後対応についてのご質問と考えます。
学会のホームページにも掲載しております、潜在性結核感染症治療指針などの委員会報告もご覧頂いていると思います。
私の経験なども合わせ、以下のように考えますので、ご参考になりましたら幸いです。

まず、職員が発症したときに責任問題になるのか という危惧につきましては、「今回感染した可能性が高いのであれば、職務上の障害として、潜在性結核感染症LTBIの治療費、および万一将来結核を発症した場合の保障は公務障害としてされるべきものと考えます。
私の所属する国立病院機構の病院では、公務障害としての手続きをしております。
特にトラブルになったという話は聞き及びません。

なお、IGRA陽性であっても、医療従事者の場合には過去の感染も多く、「以前は陰性だったが今回は陽性になった」のでなければ「今回の感染」かどうかはわかりません。
また、検査値もcut-off値周辺での変動のための陽転、陰転もありえます。
したがって、IGRA陽性者に関して、状況に関わらず全員にLTBIの治療を行うことは不適切であり、公務障害と認められるわけではありません。

LTBIの治療を今回行うかどうか、につきましては、今後の発症を抑えたいとの考えから、「今回の感染かどうか??、発症したら問題になるから念のため行っておく」と考える傾向が強いように思います。
入職時のIGRAの基礎値の把握があれば、この問題はかなり解決できます。

治療委員会委員長 重藤 えり子(国立病院機構東広島医療センター感染症診療部長)

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