日本結核・非結核性抗酸菌症学会 THE JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS AND NONTUBERCULOUS MYCOBACTERIOSIS
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Q&A 3: 20代後半でのツベルクリンの陽性反応、BCGの免疫効果の持続


Q&A 3 2013年5月28日
質問:20代後半でのツベルクリンの陽性反応、BCGの免疫効果の持続

20代後半でのツベルクリンの陽性反応、BCGの免疫効果の持続についてお伺い致します。
幼児期及び小学生の頃に日本で2度BCGを接種しています。その後渡米し、諸書類の提出時に何度もツ反を受けており、PPD→陽性反応→胸部レントゲン→投薬治療を強く勧められる…というパターンを繰り返して来ました。アメリカではBCGの接種を行わないという背景から、特に外国人の少ない地域ではBCGについて全く知識の無い医療関係者も多く、陽性反応が出ると結核感染の可能性を指摘され、2度目のBCG接種から2年しか経過していない小学生の時も胸部レントゲンを撮影。BCGによって陽転しているであろう旨を説明してもなかなか理解して頂けず、投薬治療を回避するのが大変でした。勿論感染による陽転の可能性も否定しきれませんが、20歳くらいまでは「BCGの効果は10年程」と主張し、ハイリスク地域に渡航した事も、知る限り結核患者とのコンタクトも一切無いので投薬は受けない、として来ました。

現在もアメリカに居住しており、最近では、疑陽性→ブースター→陽性→レントゲンを就労している病院の方針で毎年行っています。が、昨年初回のツ反が強陽性となり、症状も無くレントゲンに異常はなかったのですが、「BCGの効果は5年。20代後半まで効果が残る事は絶対にありえない」とされ、潜伏性の結核と診断、投薬治療を受けないのであれば就労許可できないと言われてしまいました。血液検査は高額かつ保険対象外なので躊躇してきたのですが、T-SPOT (IGRA)で検査し、陰性となりました。就労許可は下りたのですが、血液検査も100%ではないと言われ、治療を強く勧められています。

・幼児期、7歳時にBCG接種
・その後のツ反実施回数9回(ブースターも数えるとPPD注射は約14回)、毎回陽性、レントゲンに異常は無し
・28歳で初めて一回目のPPD後に強陽性反応となるが、T-SPOTの結果は陰性

28歳でのツ反強陽性は、毎年2回受けるPPDの影響もあるのでしょうか?BCGの免疫効果が最後の接種から20年経つ現在も続いている可能性があるという事なのでしょうか?大学病院に勤務していますが、基礎研究を行っているので、結核が疑われる方とのコンタクトはありません。ですが、やはり感染の可能性も捨てきれないという事なのでしょうか?また数ヶ月後に今年のツ反結果を要求されるので、どう解釈すべきか、どう説明すべきか、日本の結核病学会の先生のご意見をお伺いしたく、メールさせて頂きました。ご教示頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。

回答 2013年10月30日11:10
日本で、20歳代、30歳代、40歳代の医療従事者のツベルクリン反応検査を行うと、発赤20mm以上、硬結15mm以上はけっこういます。乳児期、小学校、中学校とツベルクリン反応検査を行い、陰性の場合はBCGをおこなっていました(2003年に小学校中学校でのBCGは廃止になりましたが)。
ツ反は時とともに減衰する人もいますが減衰しない人もおり、減衰した場合ツ反を1回するとブースターが働いて元の状態つまり、過去のBCGの影響のための陽性状態に戻ることが多いですが、戻らない人もいます。BCGのツ反に対する影響は、さまざまである、といわざるをえません。
また、BCGの発病予防効果については、エスキモーの研究では、60年間持続する(結核発病の危険が半分に減る)という研究もあり、どの程度の期間有効かについてはよくわかっていません。

一度BCGを行った方については、結核の感染の有無は、ツ反よりIGRAの方がはるかに正確で、高価であっても、IGRAで検査し続けるしかないと思います。
今回のような質問は、1990年代までは結核研究所によく来ていた質問でした(当時はFAXで。現在、結核研究所ではホームページで質問を受け付けています。結核研究所には、免疫学、細菌学など基礎分野と、疫学、予防に関する疫学公衆衛生の専門家がいます)。IGRAが行われるようになり、この類の質問はほとんどなくなったのですが。

治療委員会 吉山 崇(複十字病院)

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